

1時間の仕事を30分で終わらせたらなにする?
これは、夫が何年もずっと言っていることです。
「自分の業務を早く終わらせたなら、その分の時間を自分のために使っていいんじゃない?
だってもう“与えられたタスク”は終わってるんだから。」
たしかに、一般的な仕事ではそう考える人も多いですよね。
ノルマ達成→あとは自由に自己研鑽や休憩、
という流れ。
でも、介護現場ではこの考え方がほとんど通用しないんです。
助け合いが美徳

介護現場では「助け合いの精神」がとても強いです。
自分の業務を終えてのんびりしていると…
- あの人サボってる
- なんで手伝ってくれないの?
- 周りが大変なのに冷たい
そんなふうに見られてしまいます。
夫の言葉に当時は驚いた

以前、私と夫は同じ介護の現場で働いていました。
夫は本当に仕事が早い。
そして声掛けも丁寧、安全にも十分配慮していました。
でも一緒に働いていたとき、私はよくこう思っていました。
「私が大変なときに、なんで助けてくれないんだろう?」
思いきって聞いてみたら、返ってきた言葉はこうでした。
「だってそれ、俺の仕事じゃないから。
自分の業務はもう終わってるし、手伝っても評価されるわけでもないし。
誰でもこのスピードでできるようにはなれるよ。
努力すればね。
努力せずに“助けてもらう”前提の人のほうが卑怯じゃない?」
当時は「冷たっ!」って思いました(笑)
今、相談員として現場を客観的に見るようになって…
少しずつ分かってきた気がしています。
頑張る人ほど損をする

私の今の職場でも、
- 「サボってると思われたくないから」
- 「頑張らないと申し訳ない」
- 「手伝わないと居づらくなる」
そうやって、自分の仕事を終えても周りをサポートし続ける人がいます。
けれど…
そういった「がんばり」は、多くの場合評価される仕組みになっていません。
結果的に、
- 早く終わらせる人ほど、どんどん仕事が舞い込んでくる
- 効率よく働くと損をする
- ダラダラ時間をかけて残業代を稼ぐ人が得をする
…なんだか、おかしいですよね。
頑張りすぎた人が、突然いなくなる現実

頑張りすぎて、
頑張ることが当たり前になって、
でも、それが報われなくて、
どこにも逃げ道がなくなって。
ある日、ふと姿を見せなくなる。
そんな人を、私はこれまで何人も見てきました。
どうしたら、もっと働きやすくなる?

介護業界は、資格がなくても飛び込みやすい分、人の定着率が大きな課題です。
転職も比較的しやすい業界なので、よりよい職場を求めて辞めていく人も多いです。
でも、その背景には
- 評価されない努力
- 早く終わらせると損をする構造
- 「助け合い」が美徳とプレッシャーになっていること
こういった“制度や空気”の問題があるように感じています。
自分を守るためにセーブする

仕事を早く終わらせても、すぐに追加の業務が降ってきて、
「早くできる=もっとやらされる人」になる。
以前の私は、がんばってがんばって、ひたすら働くタイプでした。
でも今は、子育て中で時短勤務。
残業もできないし、家庭を優先する働き方を選んでいます。
“子どもに笑顔で接する余力を残して帰る”
を目標にしています。
だからこそ、適度に割り切る勇気が必要だと感じるようになりました。
たまに加減を間違えて、暴走モードになってソファから動けなくなります、笑
最後に

「がんばる人が報われる」
そんな当たり前のことが、ちゃんと形になる職場になってほしい。
自分の業務をきっちり終えたら、次のスキルアップやケアに回せるような、
“生産性の高い現場”がもっと増えていってほしい。
まずは現状の課題に目を向けられる人が増えないと何も変わらない。
少しでも、前に進めるように、現状に目を向けられれ人が増えますように。
そう思いながら、今日も相談員として現場の声を拾っています。
最後まで読んでくださりありがとうございました。